人手不足の原因とは?時代に合わせた対策を行おう

「会社の業績が振るわない」、その原因の一つに人手不足を挙げる企業も少なくないのではないでしょうか。そもそも、なぜ人手不足に陥ってしまうのか、ほかの企業も同じ悩みを抱えているのかなど、人手不足の原因と解決法を紹介します。
企業が抱える人手不足について

人手不足と感じている企業は約半数
帝国データバンクの2019年7月『人手不足に対する企業の動向調査』によると、正規社員が足りないと回答した企業は48.5%でした。前回調査よりも2.4ポイント減少しているものの、非常に高い水準にあります。
更に業界別にみると事態は深刻で、例えば建設業は正社員と非正社員、サービス業は正社員で人手不足を感じている企業が増加しています。
なお、厚生労働省の2016年の調査でも34歳以下、また35歳から59歳における人手不足産業と中小企業の離職率が高いことが明らかとなっています。
ここから分かるのは、人手不足産業や中小企業と、そのほかの企業で人材確保の格差が起こっていること。また半数近くの企業が人手不足感を抱えているということです。
業界別の人手不足の実情
【人手不足感上位の業界と傾向】
人手不足傾向の高い業界 | 業界の傾向 |
---|---|
宿泊・飲食サービス業 | 34歳まで、35~59歳までの中小企業の離職率がともに高い |
情報通信業 | 34歳までの離職が高く、正社員の人手不足感が高い |
娯楽サービス業 | 34歳以下の離職率が高く、非正規社員が不足がち |
サービス業(その他) | 34歳以下の離職率が高い |
建設業 | 34歳以下の中小企業での離職率が高く、正社員の人手不足感も高い |
運輸・郵便業 | 人手不足感は減少傾向にあるものの、34歳以下の中小企業での離職が多い |
先ほどの、帝国データバンク、厚生労働省のデータをまとめると、離職率の高い業界は人手不足感の高い業界であることが分かりました。特に顕著なのが、上の表にある宿泊・飲食などのサービス業、情報通信業、建設業などです。いずれも半数を超える企業が人手不足を感じると回答しています。
「業界別の人手不足の実情!自社に合った対策を進めるために」では、さらに詳しい業界別の人手不足事情を解説。実情を知って、自社と比較したい場合は、こちらを参考にしてみてください。
人手不足になる原因
ここまで、人手不足を痛感している企業は全体で見ても半数近くあること、業界によってはさらに深刻であることを説明しました。どうして人手不足になるのでしょう。主な原因を4つ挙げてみます。
人材獲得競争の激化
厚生労働省の調査によると、平成22年以降、有効求人倍率は1.0を上回り続けています。求職者一人につき1件以上の求人があるということです。
求職者が主導で職や企業を選ぶことができるため、「売り手市場」と呼ばれます。
企業にとっては、人材獲得に苦しむ状況と言えるでしょう。
これまではブランド力などの面から中小企業が不利といわれていましたが、人材獲得競争の激化から大企業でも油断できない状況となっています。
参考:一般職業紹介状況(令和元年9月分)について(厚生労働省)
労働者人口の減少
厚生労働省のデータにおいて、15歳以上59歳以下の労働力人口が1990年に比べ、2030年で大幅に減少するとの見通しがされています。
少子高齢化によって労働人口が減っていくという現状に加え、育児による離職だけでなく、介護による離職も目立つようになってきました。
今後、企業は若手の人材を確保するにあたって、対策を講じていく必要があるでしょう。
景気連動による労働需要の拡大
現在、リーマンショック後の景気回復により、労働者の需要が拡大しているものの、労働者人口が追い付いていない現状があります。失業者に職が行き渡り、求職者の母体が減ることで、業界によっては人材確保がより難しくなってきています。
採用手法の変化
次に、採用手法の変化です。従来は紙やWEBなどで募集をかけ、人が来るのを待つことでも人材確保が可能でした。しかし、人材獲得の競争が激化し、優秀な人材を確保することが難しい状況に陥っています。
そこで、優秀な人材を積極的に採用するために増えたのが、求人フリーペーパーや求人サイトへの求人掲載に加え、ダイレクト・リクルーティングや、SNS活用によるソーシャル・リクルーティングなどの導入です。求職者からの応募を待つだけでなく、企業側から積極的にスカウトする時代に変化してきています。採用手法を現代に合わせて最適化できていないのも、人材不足が解決しない原因です。
人手不足解消を目指すためにできること
企業が人手不足に陥る主な原因4つを説明いたしました。それでは、企業ではどういった対策ができるのか。状況により方法は様々ですが、中でも考えられる5つの方法をメインに紹介します。
人手=人以外で解決可能か確認する
仕事内容によっては、社外、あるいは人でなくても対応できるものがあります。解決法のひとつは、労働力をほかで補う方法です。
アウトソーシングで解決できないか
アウトソーシングは、外注。つまり、社内の人材不足を補うために、社外に委託することです。人手が欲しい場合は、外注で必要な分を補うことができます。
RPAで解決できないか
RPAとは、高度なテクノロジーを活用して、これまで人でないと難しいと考えられていた部分を機械化することです。AIなど学習や認知できる技術が発展する中で、RPAの導入も現実的になってきました。RPA化は特に負荷の高い業務や作業時間の長い業務で、人手不足解消につなげることができます。
現状の人員配置が適切であるか確認する
業務に対して人員配置が適当でないために、人手不足が深刻になっているケースもあります。部署ごとの業務量の偏りを分散させるなど、業務を洗い出し、重複している部分の確認、適切な配置を検討することも大切です。
企業内制度の見直しをする
人手不足の中、離職による人材流出は大きな痛手です。離職率が高い場合は、人事制度を明瞭にしたり、教育や研修制度に力を入れて社員同士が交流できるようにしたりするなど、社内制度の見直しも効果的です。
従業員にとって働きやすい環境が整うことで、離職を抑え、人材流出による人手不足を解消することができます。
採用方法の見直し・強化をする
人手不足の原因として、採用方法が現代に合っていないことを挙げました。売り手優先の状況に合わせ、ダイレクト・リクルーティングなど積極的な採用方法を考えていくことも大切です。
また、自社で働く魅力を分かってもらうために、長期インターンシップを取り入れるのもひとつの対策になるでしょう。
企業イメージを確認する
企業イメージが良くないと、いくら採用方法を変えても応募者の増加が見込めません。現状、企業イメージはどうか確認し、必要に合わせて改善策を取ることが大切です。改善策としては、CGM(Consumer Generated Media)、つまり消費者による口コミなどのメディアのメンテナンスなどが考えられます。
このほかにも、人手不足解消にはさまざまな方法があります。詳しい対策は「すべての企業が抱える人手不足の課題と対策について」(「№3_人手 不足 対策」記事のリンク設置)を参考にしてみてください。
効率的な採用活動・情報収集をするならWorkinを活用
企業の人手不足の原因のひとつに、採用活動があると説明しました。人手不足解消のため採用活動を見直したいなら、求人掲載だけでなく、採用成功者事例や独自調査レポートのあるWorkinの利用がおすすめです。
また、年々変化していく採用市場についていくには、情報収集が欠かせません。Workinでは、求人や採用ノウハウだけでなく、働き方改革、労働情報も配信しているので、企業の情報収集にもぜひ活用してみてください。
まとめ


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