業界別の人手不足の実情!自社に合った対策を進めるために
なかなか応募者が集まらない、と頭を悩ませる採用担当者も少なくないでしょう。応募者が集まらず人手不足に悩む原因はいくつかありますが、中には会社の問題というより、業界全体が慢性的な人手不足になっているケースもあります。今回は、業界別にみる人手不足の実情と対策について確認していきましょう。
業界別で異なる人手不足の実情について

人手不足と感じている企業の業種
【企業の規模別欠員率と人手不足感】
大企業(欠員率) | 中小企業(欠員率) | 人手不足感 | |
---|---|---|---|
運輸・郵便業 | 約2.0% | 約5.0% | 約57% |
宿泊・飲食サービス業 | 約3.5% | 約4.5% | 約52% |
生活関連サービス・娯楽業 | 約2.0% | 約3.7% | 約39% |
情報通信業 | 約0.1% | 約3.7% | 約36% |
卸売・小売業 | 約2.2% | 約3.5% | 約38% |
建設業 | 約0.0% | 約3.2% | 約45% |
医療・福祉 | 約1.0% | 約3.0% | 約54% |
そのほかサービス業 | 約2.7% | 約3.0% | 約55% |
学術研究・専門・技術 | 約0.5% | 約2.5% | 約40% |
製造業 | 約0.2% | 約2.0% | 約40% |
不動産・物品賃貸業 | 約0.8% | 約2.0% | 約32% |
金融・保険業 | 約0.0% | 約0.0% | 約15% |
参考:「人手不足の現状把握について「人手不足の現状」」(厚生労働省)
厚生労働省などのデータによると、人手不足と感じている企業の業種には偏りがあり、大企業・中小企業ともに共通するのはサービス関連です。中小企業に絞ると、運輸、情報サービス、建築業などが人手不足だと感じていることが分かります。
このほか、帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2019年4月)」でも同じような傾向が見られ、正規雇用では情報サービスや運輸、非正規雇用では飲食などのサービス関連業が人手不足の高い業界に挙がりました。
参考:「人手不足に対する企業の動向調査(2019年4月)」(帝国データバンク)
有効求人倍率の高い職種
【平成30年度 有効求人倍率(パート含む常用雇用)】
職種 | 有効求人倍率 |
---|---|
専門・技術職 | 2.18 |
事務職 | 0.50 |
販売職 | 2.30 |
サービス職 | 3.51 |
保安職(警備) | 7.94 |
農林漁業 | 1.58 |
製造 | 1.84 |
輸送・運輸 | 2.55 |
建設関連職 | 4.87 |
運搬・清掃など | 0.80 |
介護関連職 | 3.95 |
参考:一般職業紹介状況(職業安定業務統計)2019年8月 職業別労働市場関係指標(実数)「有効求人倍率(常用 含パート)」
次に、厚生労働省より職種別の有効求人倍率をみていきましょう。有効求人倍率は、求職者に対する求人数を表したもので、数値が高いほど需要がある、つまり人材を必要としていることになります。
表をみると、有効求人倍率が高いのは、サービス関連や建設、医療関係などです。企業の人手不足感と同様に、同じような業種で人手が足りていないことが分かります。数値で見ても人手不足が顕著な業界において、人材確保は重要な課題です。
なぜ業界により人手不足が顕著に現れるのか
ここまで、業界によって人手不足に偏りがあることを説明してきました。なぜこの格差が生まれてしまうのでしょう。人手不足が顕著な5つの業界別にその原因をみていきましょう。
情報サービス業界の場合
ITやクラウドサービスなど、成長を続ける情報サービス業ですが、技術の進歩が速いだけに、競争が激しく人材確保が難しい傾向にあります。
さらに、この業界で人手不足になっている要因として、需要の割には待遇が十分でないことが多く、必要な専門知識を持つ人が少ないことも挙げられます。
建設業界の場合
東京オリンピックなどの建築需要から建設業界では労働力を必要としていますが、なかなか人が集まらず、育成まで手が回らない状況です。
特に若年層の人材確保が難しい傾向にあり、これには建設業界全体の、きつい、汚い、危険のマイナスなイメージが背景にあります。イメージ回復に努めている企業もありますが、実際に多重請負で工期が短く、長時間労働傾向にあるなど労働環境の整備が追い付いていない企業があるのも確かです。
運送業界の場合
インターネットなどを介したEC市場の拡大で、運送業界の需要は高まり、人材を必要としています。しかし、もともとの賃金水準が低いことから人が集まらず、ひとりあたりの仕事量が増加している傾向にあります。
さらにこれに加え、届け先不在による再配達問題などで拘束時間が長くなり、さらにイメージは悪化。大手も含めた人材不足が起きています。
サービス業界の場合
飲食業や宿泊業など、幅広い業種が該当するサービス業ですが、非正規雇用も多いことから、賃金水準が低いわりに、拘束時間が長いなどのイメージが付きまといます。このことから、需要に対しての求職者が少なく、人材不足に陥りがちです。
また、欠員やイベントが発生したときのカバーなどで休日返上になることもあり、プライベートでの予定が立てにくいのも原因です。
医療・介護福祉業界の場合
医療や介護福祉業界は、高齢化社会にともない需要が増しています。しかし、夜勤や急な呼び出しのほか、人の健康にかかわる仕事のため、責任や身体的負担が大きいです。ワークライフバランスを保つことが難しいため、特に中小企業を中心に人が集まらない傾向にあります。
このように、業界によって人が集まらない原因はさまざまですが、共通する部分もあります。業界全体ではなく、社会全体でみたときの人手不足の原因は「人手不足の原因とは?時代に合わせた対策を行おう」(「№1_人手 不足 原因」リンク設置)で詳しく説明しています。
人手不足対策法をご紹介
人材不足が顕著な業界別に人手不足の原因を紹介してきました。それぞれの業界が抱える問題に対し、どのような対策を行う必要があるのでしょうか。
待遇改善
人手不足が顕著な業界には、賃金水準が低いサービス業などが上がってきました。できるだけ待遇の良い場所で働きたいと思うのは当然のことですから、競争を生き抜くには待遇の見直しが重要です。
単純にベースとなる賃金水準を上げるだけでなく、給与アップの機会をつくる、昇給基準を見える化し、評価を明確にするなど、働くモチベーションにつながる改善も視野に入ってくるでしょう。非正規社員であれば、30分計算を15分単位にするなど、時給設定の見直しも効果的です。
労働環境の見直し
長時間労働や働く環境、精神面がつらそうなど、マイナスなイメージから人手不足が起きていることを紹介しました。こうしたイメージを払しょくするには、実際に労働環境が悪いと思われないよう働く環境をクリーンに保つ必要があります。
具体的には、長時間労働防止のためのツールを導入したり、外注などで短期的な人員を取り入れたりなどです。ほかにも、精神的なつらさを軽減するために、社員同士でコミュニケーションがとれるイベントを開く、デスクなど物理的環境を良くするなどの対策も考えられます。
人材確保への取り組み
人手不足が顕著な業界では、すでについている業界全体のイメージが人員確保を妨げているケースがあります。これには、イメージを良くするために企業が積極的に動くことが大切です。
広告掲載や求人掲載など従来の採用と並行して、実際に働いて良さを知ってもらう長期インターンシップ、優秀な人材を率先して取りにいくソーシャルリクルーティングなど、採用の在り方や求職者向けの求人広告の在り方も考えていきましょう。
このほか、人材不足の対策については、「すべての企業が抱える人手不足の課題と対策について」(「№3_人手 不足 対策」リンク設置)で詳しく紹介しています。
人手不足を解決に導くWorkin
企業の人手不足は、企業単体だけでなく、業界全体のイメージや待遇なども絡み合って起こっていると説明しました。何より重要なのは、自社と照らし合わせて問題解決に導くため、必要な情報を取り入れることです。
Workinは、今回のような人手不足問題の現状のほか、採用手法などさまざまな求人や労働にかかわる情報を発信しています。自社に必要な情報収集先としてWorkinを活用してみてはいかがでしょう。このほか、Workinは求人掲載も可能なので、求人や採用全般で便利です。
まとめ

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