介護施設の閉鎖は人手不足が原因だった!?そのほかの原因や対策について

高齢社会によって介護施設が増えている印象があるかもしれません。しかし、その背後で人手不足による介護施設の相次ぐ閉鎖が起きています。なぜ介護施設はこうした苦境に立たされているのでしょうか。介護施設の現状と人手不足の原因、そして対策までを紹介します。

介護施設は年々増えている

需要にともない年々増えている介護施設。しかし、サービスが拡大する一方で、人手不足という課題に業界全体が直面しています。

高齢者人口の増加

高齢社会といわれはじめて久しいですが、実際に日本ではどのくらいの高齢化が進んでいるのでしょうか。

数を見れば明らかですが、1990年には約1,493万人(人口全体の12.1%)だった65歳以上の高齢者数は、2000年には約2,204万人(人口全体の17.4%)、2010年には約2,948万人(人口全体の23.0%)と増加してきました。

出典:「1.高齢者の人口」(総務省統計局)

国立社会保障・人口問題研究所の出生中位(死亡中位)による推計だと、2025年には65歳以上の高齢者の数が約3,677万人になる見込みです。

出典:「日本の将来推計人口(平成29年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)

この2025年の65歳以上の推計数は、全人口の約30%になります。じわじわと高齢化が進行しているのが分かります。さらに問題は、高齢化によって認知症高齢者も増えていることです。

このような流れを受けて、国内での介護サービス需要はますます高まりを見せています。2017年から2025年の短期間で、介護サービス量は全国で24.9%、首都圏では33.3%増加すると見込まれています。

出典:「1.高齢者の人口」(総務省統計局)

介護分野の人材不足が著しい

介護サービスの需要増加にともない人員の確保が課題となっていますが、介護分野では慢性的な人手不足が続いています。それを示すかのように、ほかの業種より介護業界は有効求人倍率が高く、それは年々右肩上がりに増加しています。

介護施設に限らず、訪問介護職員の数も不足しており、介護業界全体で人手不足が深刻化している状況です。

このような人手不足の原因として、多くの介護施設では「採用困難」を理由に挙げており、求人を出しても人が集まりにくい状況ができあがっています。

介護施設の閉鎖件数とその主な原因とは

介護サービス需要拡大に反して、増えている介護施設の閉鎖。現状、どのようになっているのでしょうか。閉鎖件数と推移を見ていきましょう。

老人福祉事業の倒産件数は高水準

帝国データバンクの調べによると、2018年の老人福祉事業の倒産は83件になりました。2016年の91件、2017年の88件に引き続き多くの事業が閉鎖していることが分かります。2000年は1件のため、その数は一目瞭然でしょう。なお、閉鎖した事業の大半は破産によるものでした。

出典:(老人福祉事業者の破産動向調査)(帝国データバンク)

主な原因

なぜ老人福祉事業で破産による倒産が増えているのでしょうか。主に3つの原因があります。

販売不振

単純に利用者が少ないことによる倒産です。主な原因としては、知名度の低さ、信用の低さ、実績の浅さが挙げられます。そうした傾向を示すかのように、倒産した老人福祉事業の多くは参入して10年経っていません。

人手不足

他業種と比較して、介護業界の有効求人倍率が高いとお話ししました。これはつまり、介護業界内での人材獲得競争が激化しているということです。

しかし、介護業界では多くの人材を必要としているにも関わらず、実際のところ人がなかなか集まりません。これは、そもそも人材が不足していることによって、1人当たりの業務負担が大きくかかっているなど、労働環境の悪化による退職者が多く、また人材の流出も激しいためです。人員が安定しない状況は、経営計画のミスにもつながります。

経営計画のミス

介護はこれから伸びそうだからという理由で事業に手を出すケースもありますが、実際には人手不足という大きな問題も抱えています。現状を知らないまま事業をはじめると、人員確保や従業員教育はうまくいきません。

その結果、専門サービスを提供できるスタッフが育たず、利用者数自体を制限することになります。また、業界のノウハウもないまま事業を展開すると、介護に必要な知識が従業員に浸透せず、業務ミスの多発などを引き起こし、事業としての信頼も損ねることになるのです。

介護施設の閉鎖阻止につながる!?人手不足の解消方法とは

ここまで、介護施設の閉鎖が増えていること、原因として人手不足が大きく関係していることを説明しました。それでは、こうした現状を好転させる方法はないのでしょうか。介護施設事業者がとるべき人手不足解消のための対策を紹介します。

国の支援を利用する

介護福祉機器の導入など、介護分野に特化した国の支援もいくつか実施されています。これに加え、働き方改革によって、従業員の処遇改善や非正規社員のキャリアアップ支援でも助成が実施されるようになりました。こうした助成金をうまく使えば、資金繰りの手助けになります。

働き方改革にかかわる助成金は、厚生労働省の働き方改革特設サイトで確認できます。

参考:「助成金のご案内」(厚生労働省)

労働環境を整備する

介護業界の労働環境については、拘束時間の長さなども問題視されています。イメージを上げるには労働環境の整備が欠かせないでしょう。方法をいくつか紹介します。

ユニットケアの導入

入居者10人などを1ユニットとする体制です。ユニットに対して決まったスタッフを付け、密なケアを図ります。これにより、さまざまなケースに対応しなければならないスタッフのストレスが軽減できるほか、問題解決のスムーズさに期待ができます。

単純作業システム化実施

介護以外で付随する、書類作成やお便り作成などの負担の軽減です。ITサービスなどの導入で自動的に処理させることで、スタッフの負担軽減を期待できます。

外国人労働者を採用する

日本と他国とのEPA(経済連携協定)によって、技能実習生に限らない外国人の受け入れが可能になりました。これにより、長期雇用や訪問介護、高等教育を受けた優秀な人材の確保が可能となっています。

Workinでは、求人掲載ができるだけでなく、外国人採用に関する情報
も発信しています。新しい情報を確認して、外国人労働者採用に活かしてみませんか。

求人方法を工夫する

積極的に人材を獲得するには、従来の方法だけでは難しくなってきました。求人方法に工夫を加えることも人手不足解消に効果的です。

長期インターンシップの実施

実際に経験してもらう時間を長くとることで、ミスマッチを防げます。

ダイレクトリクルーティングの実施

応募者から反応があるのを待つだけでなく、企業が積極的にスカウトしにいく方法です。

差別化できるPR内容を記載する

特に知名度が低い事業者にとって、人集めは困難です。求人媒体で自社の強みをアピールすることによって、興味を持ってもらえる可能性が高まります。

詳しい対策は、以下の記事から確認できます。
⇒「すべての企業が抱える人手不足の課題と対策について

まとめ

多くの介護施設で人手不足が問題になっており、その結果閉鎖になるケースもあります。しかし、労働環境の整備や助成金の活用など、しっかり対策を行えば閉鎖のリスクを抑えることが可能です。Workinで必要な情報を得て、積極的な求人活動を展開していきましょう。