働き方改革による下請けへのしわ寄せを改善するには

働き方改革のしわ寄せによって、労働負担が増している企業もあるといいます。なぜ働く人の多様性や労働環境の見直しを図った働き方改革が、労働負担につながる可能性があるのでしょうか。働き方改革による下請けへのしわ寄せとその理由、解消策を紹介します。

働き方改革によって起こる下請けへのしわ寄せ

働き方改革の推進にともない、多様な働き方、ワークライフバランスのとれた働き方を社会全体で進めるため、数々の法が改正されてきました。

働き方改革では、最終的に企業の規模にかかわらず改革を進める方針ですが、大企業が先に法改正の対象となり施行が進められたことで、いくつかの企業では問題が発生する事態が起きています。

大企業で時間外労働を削減するなどの働き方改革が進んだことで、削減された分の労働が下請けなど中小企業に降りかかるようになったのです。実際に働き方改革によってどのようなしわ寄せが起きているのか、いくつかの事例を見ていきましょう。

短納期発注の増加

しわ寄せ事例のひとつは、大企業から下請けなどへの短納期発注の増加です。特に、ほかの業種と比べて短納期発注が常態化しているような業界において増えているとみられます。

働き方改革以前から短納期が常態化しているとされる業界は、取引先との発注状況次第で短納期になりやすい製造業、仕様の変更により短納期になりやすいソフトウェア業や情報サービス業、受注生産方式の建設業などです。

働き方改革で下請けの企業などが適正化を図ろうと思っても、短納期発注が多いと時間内に対応しきれない部分については時間外や休日出勤に頼らざるを得ません。そうなると中小企業での働き方改革を妨げてしまいます。

これに対して、発注する企業には、適正な納期、適正な納入頻度で発注することが求められるようになってきました。

業務内容の増加

働き方改革では時間外労働の上限などが定められたことで、大企業では残業時間の見直しが急務となりました。大企業による時間外労働の削減が、人材確保や機器導入などによる生産性向上とともに行われるのであれば良かったのですが、対応できていない企業も中にはあるようです。

これにより、大企業が担っていた仕事が残業時間の削減によって宙に浮いてしまい、しわ寄せが下請けにまで及び、業務が増えた中小企業もあります。

働き方改革に関連する法律は、中小企業では猶予が与えられているものの、いずれ適用していかなくてはなりません。中小企業における業務の増加は、中小企業で働き方改革を受け入れていくうえでの妨げになっています。

そのほかのしわ寄せの事例

短納期対応や業務負担の増加など、働き方改革にともなうしわ寄せの事例としては、以下のようなものも挙げられています。

・買いたたき
働き方改革によって一部の中小企業で発生している短納期発注の増加、業務負担の増加に関わるものとして、買いたたきが挙げられます。これは、負担が増加しているにもかかわらず、負担分は考慮されずに通常の単価で発注を受けたという事例です。

・受領拒否
発注者からの求めに応じて短納期の作業に対応したものの、納期に間に合わなかったことで、発注者から受領拒否される事例も報告されています。

・不当なキャンセル
発注者が注文を出しておきながら、直前になってキャンセルがあり、成果物を受け取らなかったという理由で対価も支払われなかったという事例です。受注側はすでに準備を済ませているケースもあり、発注に関わったコストが無駄になってしまいます。

このように、いずれのしわ寄せの事例においても、中小企業が働き方改革を進めるうえでプラスになるようなものはありません。中小企業で働き方改革を進めていくには、しわ寄せを解消し、適切な取引になるようにしていくことが重要です。

大企業からのしわ寄せを改善するには

厚生労働省と中小企業庁、公正取引委員会の連携で「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策」が取りまとめられました。下請けなど、しわ寄せを受けている中小企業の場合、ガイドラインを確認しながら改善策を講じていくことが大切です。

しわ寄せ事例の確認

中小企業などでのしわ寄せに関する相談情報は、地方経済産業省に提供されるようになり、複数の機関で情報共有される期待が高まりました。

しわ寄せの事例に関してはリーフレットなどでの周知も進んでいますので、しわ寄せに該当するかどうかお悩みの場合、また、同じような事例の改善策を知りたいときの情報収集として活用できるでしょう。

このほかにも、関連法案の周知広報の取り組みとして、大企業や中小企業の経営トップ向けにセミナーの開催も行なわれています。内容は、しわ寄せに該当する行為と、改善事例の周知です。

セミナーへの参加で、しわ寄せが深刻かどうかの判断、解決に向けての取り組みを確認することができるでしょう。

しわ寄せ事案の通報

しわ寄せの問題が取引先との間で解決すれば問題ありませんが、第三者が介入しないと解決が難しいこともあります。この場合、しわ寄せに悩む企業は、労働局や労働基準監督署に通報または相談することが可能です。

しわ寄せの通報を受けた労働局は、大企業などに対してしわ寄せ防止の要請など監督指導を実施します。

このような労働局での指導で、下請法など違反が疑われる場合、複数の公的機関をまたいだ総合対策によって、公正取引委員会や中小企業庁にも通報がいくようになりました。

しわ寄せ防止の厳正な対応

下請法などの違反の疑いがある場合、公正取引委員会や中小企業庁にも情報がいくことによって、しわ寄せ防止の厳正な対応が可能となりました。

具体的な対応は個別の事案で異なるものと考えられますが、これにより、しわ寄せに悩む企業は、労働局などへ相談することをとおして、しわ寄せ事案の改善が期待できます。

Workinは求人募集に利用できるほか、働き方改革などに関連する情報も発信しています。この記事で説明した働き方改革にともなうしわ寄せの改善のほか、雇用や労働について幅広い記事を投稿しておりますので、情報収集にもお役立てください。

まとめ

働き方改革が大企業から進められたことによって、中小企業では大企業のしわ寄せを実感しているところもあります。中小企業においても働き方改革の各種法令を遵守しなければならない中、しわ寄せはマイナスポイントです。

しわ寄せの防止に関しては、労働局だけでなく、公正取引委員会や中小企業庁も連携した対策が進められていますので、しわ寄せに該当する事例が発生したら、対応窓口での相談などを活用するのが良いでしょう。