人手不足倒産を回避したい!その対策とは

2008年のリーマンショックによって日本経済は悪化しましたが、徐々に持ち直し、回復のきざしが見えてくるようになりました。しかし、中小企業の状況は今も厳しいまま。仕事の量自体が増えても、今度は人手が足りないことによる人手不足倒産が徐々に増えてきています。

こうした企業の状況を改善するにはどうするべきなのでしょうか。まずは、現状を客観的にみて、今後の対策を検討していきましょう。

人手不足が原因の倒産件数は増加している

厚生労働省が、株式会社東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」をもとに作成したデータによると、企業の倒産件数は、直近では2008年の15,646件をピークに、2018年には8,235件にまで減少していることが分かりました。

全体的な倒産自体は減っていますが、近年問題となっているのは、件数ではなく倒産の内訳。2013年には300件に満たなかった人手不足倒産が増えつつあり、2018年には400件超に膨れ上がっています。

出典:「倒産企業の状況」(厚生労働省)

こうした人手不足による倒産件数は、業種によってもばらつきがあるのが特徴です。

人手不足倒産には種類がある

近年、人手不足倒産が増えているとお話ししましたが、人手不足倒産にも種類があります。以下4種です。

後継者難型

後継者が育たない、あるいは見つからないことによる倒産で、人手不足倒産の大部分を占めています。会社代表者や幹部が病気によって引退、また高齢などで亡くなってしまったことが理由の倒産です。

求人難型

募集をかけても人が集まらないことにより倒産に陥ってしまったパターンです。近年増加してきているタイプで、業界的に人気の高くない企業で増えています。

人件費高騰型

人件費の高騰で経営が維持できなくなったタイプの人手不足倒産です。働く環境の見直しによって最低賃金の引き上げなどが行われており、ひとり当たりにかかるコストは上がっています。人手をカットするだけでなく、仕事の効率化などの対策をしていかなければ、人件費高騰に合わせて会社を維持することは難しいです。

従業員退職型

転職、あるいは介護などを理由にした退職で倒産に追い込まれるケースです。仕事の標準化が進んでいる場合などは代わりを立てることができますが、中核社員や幹部など重要な人物が退職すると経営に差し障ることがあります。

なお、正社員の人手不足倒産が多くみられるのは、建設業、運輸・通信業。いずれも業界人気が低い業種に偏っています。

人手不足が倒産を招く原因

なぜ人手不足による倒産が起きているのでしょうか。考えられる原因をいくつか紹介します。

労働者人口が減少している

日本の人口は、2019年6月1日時点で約1億2625万人。ピーク時から徐々に減り続けています。

出典:「人口推計(令和元年(2019年)6月確定値、令和元年(2019年)11月概算値)(2019年11月20日公表)」(総務省)

問題は国内の人口減少だけではありません。少子高齢化が進み、働く人口はさらに減少しており、この先さらに労働者人口は減っていく見込みです。

労働者数が全体に少なくなっていることから、企業の労働力に偏りが生まれ、人手不足倒産を招いています。

賃金が労働条件に見合わない

労働力が不足しているといっても、すべての企業が人手不足に陥る訳ではありません。人気のある企業には人が集まりますので、人手不足倒産に陥ることはまずないでしょう。

人手不足倒産に追い込まれるのは、人が集まらない企業です。人が集まらない原因にはさまざまなものがありますが、特に重視されるのは賃金設定です。

労働時間や労働内容に見合わない賃金設定をしていると、いくら募集をかけても人は集まってきません。ほかに条件の良い企業に流れてしまうためです。

また、現在、人手不足に悩んでいない企業であっても賃金設定が低いと、転職者や退職者を多く出してしまうことになります。

ノウハウが受け継がれない

決められたルーチンワークなら、たいていの人ができるでしょう。この場合、人材が欠けてしまっても、ほかから補えば持ち直せます。

問題は、会社にとって必要なノウハウを持った社員が退職あるいは転職してしまうことです。技術職だとイメージしやすいかもしれませんが、技術職でなくてもその会社に息づいているノウハウやスキルなどがあるはずです。

こうしたノウハウやスキルが、ほかの社員にもしっかり受け継がれるような教育体制が整っていないと、会社としての強みが継承されません。単に人手不足ではなく、能力のある人が減ることも会社にとって人材不足倒産の危機です。

人手不足倒産を回避するには

ここまで人手不足の現状、原因を説明してきました。深刻な問題となりつつある人手不足倒産を回避するには、どういった試みが効果的なのでしょうか。回避する策4つを紹介します。

働きやすい環境を作る

給与など会社の待遇に不満を持って辞める人は多いですが、仕事に対するやりがいのなさなども退職理由に挙げられます。いずれも、会社の労働環境に不満があることが原因です。

退職に至ってしまうまでに、相談できる環境をつくること、社内研修を行うなどして仕事にやりがいを持たせることなどが対策として考えられます。

採用を強化する

現在の採用方法で人が集まらないなら、採用方法の見直し、強化が必要です。たとえば、直接スカウトをかけるダイレクトリクルーティング、社員などから紹介してもらうリファラル採用などがあります。

いずれも、人材不足が叫ばれる中、企業側から仕掛ける積極的な採用です。採用のバリエーションを増やす、あるいは見直すことによって、人手不足倒産に対抗できます。

生産性を向上する

採用を強化しても、思うように人が集まるかは残念ながら分かりません。人手不足倒産を避けるには、同時に生産性向上も図るべきです。生産性向上とは、社員一人あたりの付加価値を向上させること。

ひとりあたりの労働負担を増やすのではなく、どれだけ負担をカバーしつつ、生産性を上げられるかがカギです。方法として考えられるのが、AIやシステム化などITの活用。人が負担していた分を機械に負担させることで、仕事の軽減と効率化が期待できます。

社内でどうしてもしなくてはならないコアな業務以外をアウトソーシング(業務委託)するのも方法のひとつです。外部に任せることによって、社内のノウハウ共有、教育も進めることができます。

多様な人材を活用する

人手不足倒産を避けるには、これまで主力とされてきた人材ばかりに目を向けず、もっと人材を開拓することです。

たとえば育児や介護などでフルタイムでの勤務が難しい女性、定年退職後のシニア、外国人人材などが対象として考えられます。人材登用にあたっては社内の環境整備も必要ですが、多様な人材の採用を逆手にとって、企業の強みとすることも可能です。

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まとめ

人手不足倒産は、特に中小企業にとっては重大な問題となっています。しかし、原因を正確に把握し、対策を打てば、人材不足といわれる世の中でも労働力を確保することが可能です。