トラックドライバーの働き方改革とは?企業がすべき取り組みを紹介
他職種と比較して、労働時間が長いといわれているトラックドライバー。働き方改革は、そんなトラックドライバーの仕事ももちろん対象です。働き方改革を企業内でも進めるにあたって、トラック運転業界の現状の整理と企業が取り組むべき対策を解説していきます。
トラック運送業界の現状

需要に対して人手不足
問題点のひとつ、人手不足に関してですが、実はトラックドライバー自体が減少した訳ではありません。トラック運送業界の場合、需要が増えたことによって人手不足が起きています。
これは、通販による宅配便の取扱いが増加したためです。通販の拡大によって消費者は恩恵を得られるようになりましたが、その陰で働くトラックドライバーに負担がかかるようになったのです。さらに、通販市場は現在も年々上昇しており、トラック運送業の人手不足を大きく加速させています。
さらに問題なのは、そうした状況にもかかわらず働く人が増えないこと。特に若い世代での人手不足が顕著で、ドライバーの年齢は高齢化していく一方です。
トラック運送業の需要が増えたという状況だけでなく、若年層が業界にあまり入ってこないことによる年齢層の上昇が、さらに人材不足を悪化させています。
参考資料:国土交通省資料「自動車運送事業の働き方改革について」
過酷な労働環境
トラック運送業の人手不足にさらに追い打ちをかけるのが、過酷な労働環境です。労働時間だけをピックアップしても、全職種と比較してトラック運送業は10~20%働く時間が長いことが分かっています。
トラック運送業の労働時間が長いのは、前述のように人手不足で単純に仕事量が多いことも関係していますが、荷物の積み下ろしでドライバーが待機する荷待ち時間や再配達に時間がかかることも原因です。
こうした(長時間労働の)現状は、時間外労働を多く生み、働く人の不規則な生活リズムへつながっています。生活リズムが狂うということは、健康にも影響がみられる可能性があるということ。実際に、トラック運送業で働くドライバーは、道路混雑による不快感や着時間へのプレッシャーなどから、心理的ストレスが蓄積しやすい職業であると国土交通省の資料に記載されています。
参考資料:国土交通省資料「トラック輸送の過労運転防止対策マニュアル」
参考資料:国土交通省資料「自動車運送事業の働き方改革について」
さらに、働きに応じた給与が少ないこともトラック運送業の働き方の問題点です。歩合制を採用している企業もあり、昇給がないなどの現状がトラックドライバーの働き方を過酷なものにしています。なお、このようなトラック運送業の働き方の現状があるのは、業界内で価格競争をはじめとした競争過多が続いたためです。
トラック運送業界における働き方改革の目的と企業が取り組むべきこと
過熱化した業界内の競争によって、トラックドライバーの働く環境は良いとはいえない現状にあることが分かりました。働き方改革によって、こうしたトラック運送業も変革期を迎える訳ですが、むしろこうした環境に鞭を打つチャンスでもあります。今回は、働き方改革による変化と企業が取り組むべきことを見ていきましょう。
労働生産性の向上
人手不足が問題とされる中、人材確保も重要ですが、人を呼び込むためにも、まずは社内での働き方を見直すことが大切です。働き方を改善して労働生産性を上げられれば、これまでの人数でも労働時間の短縮を図ることができます。
企業として取り組めるのが、アシスト機器の活用、発着側との調整などによる適切な運行計画を作ることです。これにより荷待ちなどの非効率な時間が減り、ドライバーが時間を効率よく使えるようになります。
この他、コスト面を考えると業界全体における見直しや国レベルでの調整も必要ですが、中継輸送の促進を図ること、高速道路を活用して運送効率を上げることも企業内で検討できる方法のひとつです。現在インフラとしてあるものを活用することで、時間を有効に活用して労働生産性を高められます。
運送事業者の経営改善
前述のように仕事自体を効率良くしていくことも重要ですが、同時に労働者の立場に立った働きやすい環境づくりを進めていくことも急務でしょう。ここを改善していかないことには安定的な人材確保につなげることができません。
具体的には、給与体系を見直し適切な運用を図ること、週休2日制の採用や年次有給休暇取得を促進して十分に従業員を休ませることが挙げられます。企業としては、こうした環境整備を実現するためにも、経営規模の見直しや顧客に提供する運賃等の見直し、労働時間の管理など経営改善が課題となるでしょう。
適正取引の推進
トラック運送業は、前述のように過熱化した価格競争によって、適正取引のバランスが崩れてしまっている状況があります。適正取引ができていないということは、労働者の働く環境にも影響を与えるものです。
企業としては、適正取引を推進するためにも、適正運賃で仕事を請け負うこと、契約を書面化して内容を明確にすることが目標として挙げられます。
他にも、各取引において不測の事態が起きても対処できるよう業務全体をマニュアル化することも重要です。企業内での体制を整えることによって、契約や取引の内容が明確になり、問題のある取引を明らかにできる他、改善して適正な方向に持っていくことができます。
人材の確保・育成
経営改善の面でも触れましたが、人手不足を解消し人材を安定的なものにするのは、働く環境の整備が急がれます。これから入社してくる人にとって、どれだけ魅力的な雇用条件かリサーチしたうえで、賃金、休日などの条件を整備していくことがまずひとつ。
もうひとつは、新しく入ってくる人材ばかりに目を向けず、今ある人材を活かして育成できる環境を作ることです。そのためには、ワークライフバランスを整えること。性別、年齢にかかわらず働きやすい環境にするために、育児休業制度や短時間勤務などの環境を整備していくことが大切です。
他にも資格取得を促進する、教育制度を導入するなど、キャリアパスの仕組みを整えて、働く人がよりやりがいを持って働けるような環境にしていくことも検討候補として考えられるでしょう。
まとめ
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