低賃金は人材にとってマイナスな条件。人手不足を解消するには

せっかく採用した人材も、短期間のうちに退職してしまい、慢性的な人手不足に悩んでいる企業も多いでしょう。人手不足の原因はさまざまですが、ひとつは低賃金が挙げられます。なぜ企業にとって低賃金がマイナスになるのか、その理由と低賃金であり続けることのデメリットをみていきましょう。

低賃金が人手不足を招く理由

日本国内では、国の経済水準に見合わない低賃金で労働者を雇用している企業も少なくないといいます。しかし、低賃金といってもどれくらいからが低賃金となるか少しあいまいです。

全労連のチラシを確認してみると、健康で文化的な暮らしができるよう最低賃金を引き上げ、1,500円を目指すという内容が書かれています。しかし現状はどうでしょう。国の設定している地方ごとの最低賃金さえ、この基準をクリアできていません。

参考:全労連

さらに、地方によって格差があり、時給1,500円に対して2分の1ほどの最低賃金の地域も存在します。あくまで最低賃金は基準ではありますが、現実には最低賃金に近い給与で従業員を雇っているケースは多いです。特に、非正規社員においては顕著となっています。

問題は、こうした低賃金が人手不足を招いているということ。競合の企業と似たような低賃金に設定することが危険な理由を説明します。

生活が成り立たない

低賃金が人手不足を招く理由のひとつは、労働者の生活が成り立たなくなってしまうためです。前述したように、健康で文化的な最低限の生活でも時給換算で1,500円以上ということが判明しています。これは、住居費や交通費などを考慮してもほとんど地域差はありません。

それにも関わらず、最低賃金は地域で格差があり、さらに本来必要と思われる生活費と乖離しています。

生活を制限するほどの賃金しかもらえないなら、もっと待遇の良いところに就職したいと人が流れていくのは当然でしょう。

また、低賃金は人材の流出だけでなく、雇用している従業員の購買力も下げます。購買力に余力があれば、消費者の行動は活発化し、さらに企業の利益につなげることができますが、低賃金で働く労働者は購買力が低いため、サービスやものの購入は控えめ。

結果、企業は売り上げが上がらず、手っ取り早く利益を上げるために、低賃金に走る悪循環ができあがっています。

能力を安く買われていると思われる

低賃金が人手不足を招く理由のもうひとつは、賃金は人材の能力を評価するひとつの指標であるためです。安すぎる賃金は、労働者にとって、会社から正当に能力を評価されていないという不安につながります。

厚生労働省が最低賃金制度を取り入れている意義のひとつに、労働者の質的向上をあげていますが、裏を返せば企業は提示する賃金に見合った能力の人材しか確保できないということ。対象となる人材も数が減れば、より良い条件の会社に流れていくものです。

労働人口の減少などを要因に日本全体で人手不足が叫ばれている今、低賃金の企業に人が集まらないのは、当然の結果ともいえます。

低賃金で人材の雇用を続けていると企業は損をしかねない

低賃金が人手不足を招く理由を、労働者の立場から説明してきました。低賃金が労働者にとって何のメリットもなく、選ばれない企業にしているのは明白でしょう。しかし、低賃金で雇用する企業はそれでも存在します。

だからといって、低賃金の企業に足並みを合わせて、労働者を安く雇い入れようとするのは危険。低賃金は企業にとって損失となるためです。人件費カットでコストを削減できたはずが、企業にとってデメリットになってしまう理由を2つ紹介します。

いつまでも生産性が上がらない

企業が利益を上げるには、だいたい売り上げを上げるか、コストを削減するかの2択に絞られます。

しかし、売り上げを上げるには、利用者の開拓、商品の開発などをともなうため現実的に難しいです。また、サービスやものの価値は需要によって決まるため、企業が思うように利益を確保することは、特に飽和している業界では困難となります。

手っ取り早く利益を確保するために人件費を削るほかありません。しかし、前述したように人件費カットは企業の人手不足を招くほか、企業の信頼度の低下にもつながります。

そこで対策として考えらえるのが機械導入などの生産性向上の取り組みです。しかし、事業の運用を理由に投資を渋る企業も多く、結局そうした企業では、人に頼った運用になってしまいます。

低賃金のマンパワーに頼った労働では、人のできる仕事量は限られてしまいますので、いつまでたっても生産性向上は期待できません。

最悪の場合、人手不足倒産になることも

人手不足であっても、何とか仕事が回るうちは問題にはならないかもしれません。しかし、慢性的な人手不足が続くと、事業は立ち行かなくなってしまいます。

事業承継できる人材がいなくなるだけでなく、人件費を支えきれるほどの売上を確保できなくなってしまうためです。最悪、人手不足倒産に陥る企業も出てくるでしょう。低賃金を続けることは、人手不足から発展して、企業倒産のリスクにまで拡大するのです。

人手不足で悩む企業はまず賃金の見直しを

低賃金による人手不足を改善するには、まず適正な賃金に見直すことです。低賃金は、新たな人材の確保を阻害するだけでなく、今いる社員の離職にもつながる可能性があります。人手不足倒産のリスクも高めてしまう以上、早急な対策が望まれるでしょう。

経営が厳しい中、従業員の賃金を引き上げるためにできることは、そもそもの人が少なくても済むように業務の効率を上げること。そして、利用できる制度はうまく活用することです。

たとえば、賃金引き上げにあたって企業の経営が困難にならないよう、助成金による支援もあります。生産性を向上させ従業員の賃金を引き上げたときの「業務改善助成金」、賃金制度等の見直しを図ったときの「人材確保等支援助成金」、非正規社員の賃金を引き上げたときの「キャリアアップ助成金」です。

助成金の条件に合うように、賃金引き上げの取り組みを行うことによって、助成金によっては業務効率化を図りつつ賃金の見直しが図れます。

Workinでは人手不足の解消に関するお役立ち情報を掲載。そのほか、働き方改革や労働環境の改善などについても解説をしていますので参考にされてください。

まとめ

コストカットのための取り組みであっても、低賃金は長期的にみると企業にとって、デメリットが多いです。人材確保と適正な経営のためには、賃金の見直しが重要。助成金などもうまく活用して、人手不足解消のための賃金アップを考えていきましょう。