働き方改革で勤務間インターバルが努力義務化!導入方法や助成金を解説

2019年4月より、中小企業でも働き方改革が順に取り入れられるようになりました。この、働き方改革を実現するための3つの柱が、長時間労働をなくしていくこと、多様で柔軟に働けるようにすること、雇用形態で不公平が生じないようにすることです。

このうち、長時間労働の改善につながると期待されるのが、勤務間インターバルです。どのような制度でどのように導入するのか、勤務間インターバルの内容を見ていきましょう。

働き方改革における「勤務間インターバル」とは?

勤務間インターバルとは、その日の終業時間から翌日の始業時間まで、インターバル、つまり一定の休息時間を確保することです。日本の勤務間インターバルは休息時間に規定がなく、各企業で設定することになります。

この勤務間インターバルは法的な拘束を持ちませんが、2019年4月1日より企業の努力義務として制度導入が決められました。

2018年7月24日に閣議決定した「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では、労働者30人以上の企業における勤務間インターバルの数値目標も設定されています。

関連する目標は全部でふたつ。2020年までに、対象企業のうち制度を知らない企業が20%未満になること、導入している企業が10%以上になることです。

参考:厚生労働省

勤務間インターバルがもたらすメリットは?

勤務間インターバルは、もともと日本の長時間労働を改善するために制度として設けられました。実は、この勤務間インターバルの導入は企業にとってもメリットがあります。

長時間労働の軽減によって社員の健康リスクを減らせるほか、社員が自主的に勤務時間と休息時間の過ごし方を考えるきっかけになるメリットです。

勤務間インターバル導入によって、限られた時間の中で仕事を終わらせなければならない意識が高まるため、しっかり休息をとるための健康意識が向上するほか、業務の効率化も期待できます。

次に、生産性向上のメリット。前述したように、社員がしっかり休むことで、健康リスクが軽減されるだけでなく、慢性的な疲れの軽減にもつながります。これにより、社員は心身ともに良好な状態で仕事に取り組め、生産性の向上が期待できるのです。

勤務間インターバルを導入するには?

ここまで勤務間インターバルについてと、企業導入によるメリットを解説してきましたが、実際に導入となったとき、どのような手順を踏めば良いのでしょうか。勤務間インターバル導入の流れを順に紹介します。

制度導入の検討

長時間労働を改善したいのか、社員の健康を目的にしたいのか、あるいは人材確保や定着を目的にしたいのか、まずは導入する目的を明確にします。

これは、目的によって設定する時間が違うほか、勤務間インターバルの社内における必要性を考えるためです。同時に期待される効果についても洗い出し、制度導入をどうするか検討を進めていきます。

労働時間を把握

社内での勤務間インターバルの方向性が決まったら、次は実際の労働時間の把握です。従業員や労働組合などと連携を取りながら現状を調査します。

さらに、労働時間が分かったら、実働時間の問題点や今後の課題を洗い出し、勤務間インターバル導入の材料を揃えておくことが大切です。

休息時間を設定

社内の労働時間の問題、実際の労働時間など状況の把握ができたら、いよいよ勤務間インターバルの休息時間の設定です。社員のプライベート時間の確保について十分に考えながら時間を決めていきます。

妥当な時間については、EU各国では最低連続11時間で設定されていることなど、厚生労働省報告の有識者検討会などの資料が参考になるでしょう。

有識者検討会の資料はこちら

また、休息時間の設定は、対象者を絞り込むかどうかも重要です。社員一律なのか、職種に分けて設定するのかで運用は変わってきます。

適用除外の設定

勤務間インターバルによる休息時間の取り決めは、労働時間を適正にすることに役立ちますが、状況によっては適さない場合もあります。海外とのやり取りが発生した場合、重大なトラブルが発生した場合など、特別な状況になったときです。

勤務間インターバルでは、あらゆる状況で適切な運用ができるよう、特別な状況や年末年始などにおける適用除外が認められます。適用除外を設ける場合は、回数制限を付けるか、代替措置を設けるかなど一定のルールを明確にすることが大切です。

試行期間

休息時間の設定に適用除外の設定など、勤務間インターバルの社内の整備が進んだらそのまま実施することもできますが、可能であれば試行期間を設けた方が良いです。

検討を重ねた結果であっても、実際に導入して業務に支障が出る可能性があります。試行期間を設けて、業務上の支障がある場合はどのくらい支障があるのか検証し、実際の導入に向けての調査材料にしましょう。

改善点の見直し

試行期間の検証をもとに、どんな問題があったか、どこを改善すれば良いか、社員から意見を聞くなどして改善点を洗い出し、導入について再び検討しつつ見直しを図ります。

制度導入

十分な見直しが済んだら、制度導入です。しかし、導入が済んでも、その後問題が発生することもあります。状況を見ながら、導入後も必要に応じて制度を見直すことが重要です。

勤務間インターバル導入における助成金

ここまで働き方改革による勤務間インターバルの導入について紹介してきましたが、企業によっては導入がなかなか進まないこともあるでしょう。そうした状況を支援するために、中小企業においては、時間外労働等改善助成金があります。

この勤務間インターバル導入コースで助成金支給対象になるのは、対象となる中小企業事業主が休息時間を9時間以上に設定し、支給対象の取り組みを実施した場合です。

実施にあたって、成果目標を設定したうえで、達成のために新規導入、時間延長、範囲拡大のいずれかに取り組む必要があります。

すべての条件を満たしたうえで支給されるのは、新規導入でないときで最大50万円、新規導入に該当するときで最大100万円です。休息時間を9時間以上11時間未満にするか、11時間以上にするかでも助成金の額が変わってきます。

まとめ

今回紹介した勤務間インターバル導入による働き方改革で、社員の労働時間、働き方に変化が出てくるものと予想されます。こうした変化によって、労働力が不足する可能性もあるでしょう。

勤務間インターバル導入によって労働力が不足した場合、労働時間で埋め合わせるのではなく、人員を増やして埋め合わせるのも方法のひとつです。Workinの求人掲載も候補に考えてみてはいかがでしょう。