アルバイト派遣正社員

派遣契約について理解してる?知っておくべき仕組みや法律

正社員だけでなく、バイトやパートなど、世の中にはさまざまな働き方があります。派遣もそうした働き方のひとつです。

実際に、派遣で働いてみたいと考えたことがある方もいるかもしれませんね。今まで経験したことのない働き方がどんなものなのか分からず、不安も多いと思います。

令和2年度「労働者派遣事業報告書」の集計結果によると、令和2年度の派遣労働者数は約193万人でした。対前年度比として4.9%増加しており、派遣労働者数は増加傾向にあります。

出典:「令和2年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(厚生労働省)

派遣は法律上の扱いや契約など、直接雇用の労働者と異なる面があります。派遣の働き方について理解しておくことで、トラブルの未然防止につながるでしょう。

今回はそんな派遣にかかわる契約を知り、派遣への理解を深めていきましょう。

そもそも人材派遣業とは

派遣は、労働者と派遣元(派遣会社)が労働契約を結ぶものの、実際に労働者が働く会社は異なる働き方です。これは、派遣元が派遣先(実際に働く会社)に人材を斡旋することで成立する雇用のためです。

派遣先企業で直接雇用されるわけではないため、会社と直接契約を結ぶ契約社員とは異なります。同様に、会社と直接契約する、正社員やバイト、パートとも違う扱いです。派遣の働き方については、「初めての派遣労働ガイド!種類や働き方について」で詳しく紹介しています。

そして、この派遣の在り方をさらに複雑にしているのが、派遣の種類です。大きく分けて、派遣には一般派遣(登録型派遣)、特定派遣(無期雇用派遣)、紹介予定派遣があり、それぞれ働き方は異なります。

派遣の種類は、「【派遣のしくみ】登録型派遣と無期雇用派遣など派遣の種類とその特徴」で詳しく紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。

このように、派遣は企業と直接契約せず、派遣会社と契約を結んで、派遣先で働くことになるため、就業開始までの流れも直接契約する場合と異なるのもポイントです。登録から働きはじめる流れについては、「派遣初心者向け!派遣登録から派遣先での勤務開始までの流れ」で詳しく紹介しています。

派遣の契約には2種類ある

人材派遣業について簡単にみていきましたが、それでは本題である派遣の契約についてはどうでしょうか。派遣の契約には、労働者と派遣元の契約、派遣元と派遣先の契約のふたつがあります。

派遣として働くなら派遣元と派遣先との契約も重要です。この派遣元と派遣先の契約は、基本契約と個別契約の2種類に分けられます。

基本契約

派遣元と派遣先が交わすベースの契約を「基本契約」といいます。主に以下のような内容が契約として交わされます。
基本契約では、派遣の仕事内容など細かな契約は交わされません。この基本契約は、派遣先が変わっても基本的に同じ内容で契約が交わされます。

基本契約で主に記載される内容

・人材派遣契約であることと別途個別契約で規定することの明記
・受け入れ期間の制限や抵触日の通知
・派遣元責任者、派遣先責任者、指揮命令者の選任
・適正な就業や安全の確保
・労働者の交替
・守秘義務
・損害賠償や契約解除
・契約の中途解除や期間短縮の特例
・契約の有効期間

個別契約

「個別契約」は、基本契約と同様、派遣元と派遣先との契約で、業務内容などより具体的な内容をまとめた契約になります。労働者にとっては、こちらの方が重要な内容です。

個別契約で主に記載される内容

・業務内容
・就業場所
・派遣期間
・就業日と終業時間、休憩時間
・労働者からの苦情処理
・就業日外や時間外労働の取り決め
・福祉増進の便宜
・派遣の人数
・雇用安定措置
・指揮命令者、派遣元責任者、派遣先責任者(氏名、連絡先)

しかし、基本的に個別契約の内容は労働者が見られるようなものではありません。それでは、どのようにして契約の内容を知ることができるのでしょう。ヒントになるのが、派遣先と労働者の間で結ばれる「雇用契約」です。

派遣では、通常の直接契約で記載しなければならない内容に加え、以下のようなものを雇用契約書に記載しなければなりません。

労働者派遣法で雇用契約書に記載が必要な内容(主なもの)
・業務内容
・就業場所
・派遣期間
・就業日、就業開始時刻、就業終了時刻、休憩
・就業日以外の労働、時間外労働について
・派遣元責任者、派遣先責任者、指揮命令者(氏名など)
・苦情処理について
・福祉増進の便宜について
・安全衛生について
・派遣契約解除について
・本人の派遣料金、派遣元での平均的な派遣料金

「個別契約」と「雇用契約」を比較するとほとんどの部分で、内容が被っていることが分かります。つまり、雇用契約書を確認すれば、個別契約について大方理解することができるということです。

派遣社員と契約社員との違い

派遣社員とよく似ているものに契約社員があります。この両者の違いについて見ていきましょう。

雇用契約が違う

派遣社員は、派遣会社と雇用契約を交わす「間接契約」です。実際に勤務する派遣先企業と直接契約は交わしていません。

そのため、法律上使用者としての義務を負うのも派遣会社です。給料は派遣会社から支払われ、社会保険や労働保険も派遣会社の従業員として加入します。

また、派遣社員が同じ会社、同じ業務に勤められるのは3年までです。3年を超えて継続勤務する場合には、派遣先企業が正社員として登用する必要があります。正社員としての登用をしない場合、その後は別の派遣先で働くことになります。

これに対して、契約社員は勤務先の企業とじかに契約を交わしている「直接契約」です。給与は勤務先企業から直接支給され、社会保険も勤務先企業の従業員として加入します。

契約社員として働き続けられる期間は、原則として3年です。ただし、契約を更新すれば、3年以上勤められます。派遣社員と違って、正社員でなくても更新を繰り返せば同じところで長く働ける仕組みです。

給料・勤務体系が違う

派遣社員の給料は、時給制が一般的です。そのため、勤務時間や日数などによって、給料が増減します。休日が多い月には給料が安くなってしまうこともあるでしょう。

これに対して、契約社員は就業先企業によって給与体系が異なります。派遣社員と同じ時給制のところもあれば、月給制、年俸制、日給制、日給月給制などのところもあるでしょう。

月給制や年俸制の場合には、給料が月の日数や休日の日数に影響されません。そのため、時給制の派遣社員よりも収入が安定しやすい傾向にあります。

契約社員で時給制や日給制などの場合には、収入の安定性の面で、派遣とあまり差はないでしょう。

勤務体系に関しては、派遣社員と契約社員の違いよりも、雇用契約によるところが大きいです。

派遣社員の場合には、あらかじめ希望を出しておき、それに合った派遣先を紹介されることが多いでしょう。契約社員の場合には、同じ勤務先の正社員よりも、労働時間や日数などに関して自由が利きやすい傾向にあります。

派遣として働く上で知っておきたい5つのこと

派遣として働くなら、次のようなことを知っておく必要があります。

多様な会社で経験を積める

派遣は、さまざまな業種や職種の仕事に就けるのがメリットです。ひとつの職種や業種だけでなく、幅広い内容の業務を経験できます。その中から自分に合った職種や業種も見つけられるでしょう。

未経験からでも就業可能な求人が多いのも、派遣社員のメリットのひとつです。経験がないために正社員としての転職が難しい場合でも、派遣でなら経験を積めます。

派遣で数年程度経験を積んでから、正社員としての転職を目指すのもありでしょう。

派遣会社が次の会社を紹介してくれる

派遣の仕事は契約期間が決まっており、満了すれば働くことができなくなります。しかし、契約満了後は派遣会社から次の就業先を紹介してもらえるのがメリットです。自分で求人を探して応募する必要はありません。

自分で就職先や転職先を探すとなかなか決まらない人にとっては、不安を感じることなく安心して働けるでしょう。新しい就業先に関して、条件面での希望も出せます。

就業先との交渉を派遣会社がしてくれる

派遣で働く場合、就業先企業とは雇用関係がありません。そのため、給与や待遇面について交渉したい場合には、派遣会社が就業先企業に対して行います。給与や待遇に不満があっても、交渉が苦手な人にとっては大きなメリットです。

また、契約更新の際に業務内容が変更されることもあるでしょう。これまでよりも負担が重く、同じ時給だと割に合わなくなることもあるかもしれません。そのようなときの時給アップ交渉も派遣会社が行います。

雇用は安定していない

派遣では、同じ企業で3年を超えて働けないようになっています。3年経過時に就業先企業で正社員登用されなければ、ほかの就業先に移らなければなりません。希望する条件に合う就業先がなかなか見つからずに、間が空いてしまう可能性もあります。

また、就業先企業が経営難に陥った場合、契約を打ち切られるリスクが高いのもデメリットです。人員整理が必要な場合には、直接雇用の従業員よりも、派遣の方が先に対象となるでしょう。

交通費が別途支給されないケースが多い

直接雇用で働く場合には、交通費が支給されるケースが多いですが、派遣は交通費の支給がないのが一般的です。大半の派遣会社では、交通費を時給に含めています。

派遣の時給はパートやアルバイトなどと比べると高めであるため、それでも良いと思う人もいるかもしれません。しかし、交通費の別途支給がないのが気になるのであれば、自宅から近い職場を選ぶのがおすすめです。

また、派遣会社の中にも交通費が別途支給されるところもあります。選択肢は狭くなるかもしれませんが、交通費が支給される派遣会社を選ぶのが良いでしょう。

派遣契約前にチェック!禁止事項を知っておこう

派遣の雇用契約をみていくと、多くの場合で禁止事項が記載されています。派遣先との契約によっても変わってきますが、主に派遣契約での禁止事項として共通する部分3つをみていきましょう。

契約解除

労働者派遣法では、国籍や性別など、不当な理由で派遣先が契約を解除することを明確に禁止しています。場合によっては、不当な解雇は損害賠償請求の対象です。

事前面接

契約終了後に、派遣先と労働者が直接契約することを目的とした紹介予定派遣を除き、派遣先が労働者を特定するような行為、たとえば事前面接は禁止されています。派遣契約は、そもそも派遣元が人材を選び、派遣先に斡旋する契約だからです。

また、労働者の就業が不当に狭まってしまうこと、労働者と派遣先との間で不当に雇用契約が結ばれることのないようにという理由もあって、事前面接は禁止されています。

派遣の引き抜き

派遣期間中に、派遣先が労働者を引き抜き、雇用契約を結ぶことは禁止されています。しかし、この派遣の引き抜きの禁止は、あくまで派遣期間中だけに限定されます。法律では、派遣契約終了後に労働者と派遣先が直接契約を結ぶことは禁止されていません。

このように、派遣契約については労働を守るために、禁止事項が設けられています。このような禁止事項をあらかじめ理解しておくことで、派遣中のトラブル回避に役立ちます。

派遣が確認しておくべき法律

先に紹介した派遣契約には、法律が絡んでくることも多いです。確認しておきたい法律とその内容を簡単に説明します。

労働者派遣法

労働者派遣法は、雇用の安定と労働者の保護のための法律です。知っておきたい主なポイントを紹介します。

同一の派遣先での期間制限

同じ派遣先への派遣は、3年が上限です。3年を超えて契約を結ぶ場合、派遣先の労働組合など過半数に意見を仰ぐ必要があります。個人単位だと、同じ事業所の同じ課で3年以上働くことはできません(無期雇用の派遣などは対象外)。

適切な賃金水準の配慮

派遣元が労働者の賃金を決める場合、同業種の賃金水準や職務の成果、能力などに基づき、適切な賃金であるよう配慮しなければなりません。

最適な派遣会社の選択

派遣会社には、マージン率や教育訓練の取り組みの明示が義務付けられています。インターネットなどを利用して、就業希望者は派遣会社の比較が可能です。

このほか、労働者派遣法の内容はe-Govのページ、2012年の大幅な改正のポイントについては厚生労働省のページから確認できます。

リンク先:「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(e-Gov)https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=360AC0000000088
「派遣労働者・労働者の皆様」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/kaisei/01.html

労働契約法

労働契約法は、企業と労働者間の労働契約にかかわる基本の法律です。刑事罰などの規定はありません。労働契約法で知っておきたいポイントを確認していきましょう。

有期から無期労働契約への転換

同じ使用者との有期労働契約が通算で5年を超えたとき、同労者の申し出があれば、無期労働契約に転換することができます。無期労働契約は、有期労働契約と異なり、安定的な就労につながる契約です。

雇止め法理

派遣元の契約の拒否により、期間満了で契約が終わることを雇止めといいます。労働契約法では、無期労働契約の解雇にあたるものと認められる場合など、一方的な理由で派遣の契約を終了させることを無効としています。

このほか、労働契約法の内容はe-Govのページ、ポイントについては厚生労働省のページから確認できます。

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ここまで、派遣にかかわる法律や派遣の契約について紹介してきました。通常の直接契約とは異なりますが、その分、不当な雇用にならないさまざまな策が講じられていることが分かったかと思います。ここまでポイントを押さえておけば、派遣登録や派遣での仕事も安心です。

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まとめ

派遣の契約は、ポイントさえ押さえれば問題ありませんし、法律によって労働者側の立場も守られています。派遣で仕事をはじめたいと思ったら、Workinで検索してみましょう。