若手社員への意識調査では、社会人2年目で離職意向のある方の63.8%が「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」と回答しています。離職意向のない方に比べると31.7ポイント高く、若手の社会人が離職を考える理由に自分の知識やスキルに対する不安感があるということです。
社会人として働くうえでの不安を早く取り除くためには、「社会人基礎力」を身に付けることが大切です。
この記事では、社会人基礎力とは具体的に何なのか、なぜ重要視されているのかについて紹介していきます。また、社会人基礎力を身につける方法についても触れているので、参考にしていただければ幸いです。
【目次】
社会人に必要な基本のスキル「社会人基礎力」とは
社会人基礎スキルとは、経済産業省が2006年に提唱したもので、人生100年時代の働き方に求められるものです。
「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つから構成されており、能力や基盤となる要素を常にアップデートしていくことが必要だとされています。
出典:「社会人基礎力」(経済産業省)
(https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/)(令和2年6月22日に利用)
ここでは、上述の3つの要素について、具体的にどのようなスキル・資質を指すのかという点について詳しく見ていきましょう。
前に踏み出す力
「前に踏み出す力」として求められるのは、失敗を恐れずに試行錯誤しながら自ら動く姿勢です。
具体的には、以下のようなスキル・資質をもつことが求められています。
・主体性
物事に進んで取り組む姿勢で、受け身ではなく自ら考えて行動する力が求められます。
・働きかけ⼒
企業で仕事を行う際には部署やプロジェクト単位で、ほかの社員とも連携を取る必要があります。そのため、働きかけ力として周囲の人を巻き込んで行動・向上させる能力が必要とされています。
・実⾏⼒
社会人として仕事をするということは、企業に利益をもたらす働きが求められるということでもあります。行動するだけでなく、その行動が目的達成のために必要なものであることが重要とされています。
考え抜く力
「考え抜く力」は、問題意識をもち、常に課題の発見や解決を試みる姿勢のことです。
考え抜く力として、以下の要素が必要になります。
・課題発見力
現状を冷静に把握・分析し、課題を明確にする力が求められます。
・計画力
課題の解決に向けて、過程を明らかにしながら準備を行う力も重要です。課題や問題による影響をいかに最小限に抑えられるか、という結果も求められます。
・想像力
商品やサービスなどの新たなアイデアから、新たな価値を生み出す力のことを指します。
チームで働く力
「チームで働く力」は、企業の一員として利益を生み出すために、周囲のメンバーと協力しながら仕事を進めていく資質を指します。
チームで働く力としての能力を構成する要素には、以下の6つが挙げられています。
・発信力
自分の意見を伝え、周囲に流されない姿勢が求められます。
・傾聴力
自分の意見を押し通すのではなく、相手の意見を聞く力も必要とされています。
・柔軟性
自分の意見と相手の意見の違いを受け入れ、うまく調整できる能力も重要です。
・情況把握力
物事を客観的に理解し、課題の抽出などができることが求められます。
・規律性
約束事やルールを遵守し、チームの一員である自覚をもつ必要があります。
・ストレスコントロール力
業務中におけるさまざまなストレスをコントロールし、うまく付き合っていく能力のことです。
これらの社会人に必要とされる主な3つの基礎スキルには、それぞれに複数の要素が含まれており、すべてを兼ね備えることは簡単なことではないでしょう。
それだけに、はじめから完璧な行動を求められているわけではありません。
ここで紹介した内容は、あくまでも基礎的なスキルですが、実際には業務にあたって身についていくことが多くあります。
大事なのは、経験を積みながら社会人基礎スキルを磨こうとする意思です。
ただし、やみくもにスキルを身に付けようとしても具体性がないため、スキルを構成している要素を知り、自分に必要な能力を考えることが重要でしょう。
特に新卒の場合は、仕事に対してのモチベーションはあるものの、同時に「自分の能力で社会についていけるだろうか」という不安を抱えていることが多くあります。
初めて行う業務では、できないことが多くて当然ですし、慣れていない環境ということもあり、本来の力も発揮できないことも多いでしょう。
難しいことや判断に困ることがあったとき、ストレスを感じて辛くなったときなどは、ひとりで抱え込まずにチーム内の上司に相談することも大切です。
社会人基礎力の新たな「3つの視点」
2018年に経済産業省は「人生100年時代の社会人基礎力」に新たな3つの視点を追加しました。
「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「どう活躍するか」の3つで、これらの視点がキャリアアップをしていくうえで必要とされています。
何を学ぶか
キャリアアップをしていく上でどのような学びが必要になるかという視点です。自分自身の付加価値を高めるには何を学ぶべきかを自分で考えていかなければなりません。自分の強みを伸ばし、弱みを補うには何をすべきか考え抜くことが大切です。
どのように学ぶか
さまざまな経験や体験、能力、キャリアを組み合わせて統合することです。研修会やセミナーに参加するだけでなく、さまざまなキャリアやスキルをもっている人と交流することでも学びは得られます。日頃から多様な人から学ぶ機会を得ることが重要です。
どう活躍するか
組織や家庭の中で、どのような自分でいたいかという視点も大切です。自己実現や社会貢献するためにどのような行動が求められるのかを考える必要があります。
企業はどう思っている?企業が新卒者に求めているスキル
実際に企業は新卒者にどのようなスキルを求めているのでしょうか。
「2021 年度新卒者採用に関する動向調査」によると、企業が採用の際に重視するスキルで多かったのが、「コミュニケーション能力」「協調性」「誠実性」の3つです。
これらのスキルが重視されている理由とそれぞれのスキルをもつ人の特徴について詳しく見ていきましょう。
出典:「2021 年度新卒者採用に関する動向調査」(熊本日日新聞社 地方経済総合研究所 共同調査)
コミュニケーション能力
87.3%の企業が重視するスキルとして回答しているのがコミュニケーション能力です。
新卒者は周りからのサポートを受けながら業務を覚えていきますし、先輩や上司との良好な関係を築く必要もあるのでコミュニケーション能力は欠かせません。
コミュニケーション能力に欠けていると、上司の確認を取らずに仕事を進めたり、チームの和を乱したりして周りに迷惑をかけてしまうおそれがあるでしょう。
社会人に必要なコミュニケーション能力には4つの要素があります。
・信頼関係を築く
コミュニケーションの基礎になるのが信頼関係です。信頼関係を築くには、時間を守る、報告をする、約束を守る、きちんとした身なりをするなど、社会人として当たり前のことを心掛けることが大切です。
・相手の要望を理解する
自分の意思を上手に伝えることができても、相手の話をきちんと理解できなければ誤解や齟齬が生じます。円滑にコミュニケーションを取るには、話をよく聞き、相手の要望を正確に理解することが大切です。相手の話を聞く際は、質問を交えながら具体的に聞くことを習慣にしましょう。
・わかりやすく伝える
誤解を防ぐにはわかりやすく伝えることが必要です。伝えたいポイントを明確にして、わかりやすい言葉を使い、相手のペースに合わせて話しましょう。
・反応を確認しながら会話する
顔の表情や話し方、雰囲気など相手の反応を見ながら会話していくことも大切です。相手の表情や反応から、きちんとメッセージが伝わっているか、提案に満足しているかなどを判断できます。
協調性
協調性は81.0%の企業が重視するスキルとして回答しています。協調性が重視されるのは、業界・職種問わず、人で完結できる仕事はほとんどないからです。
仕事を円滑に進めるためには、立場が異なる人たちと建設的に意見を交わし、調整していく必要があります。
協調性のある人の特徴には以下のようなものがあります。
・観察力がある
協調性のある人は周りの状況を的確に理解して、どのような問題があるのか把握できます。
・気遣いができる
他の人が困っているときにさりげなくサポートできるのも協調性のある人の特徴です。
・話をよく聞く
協調性のある人は、相手の話を遮ることなく最後まで聞くことができます。意見が異なる人のことも理解しようとするので、相手に納得してもらいながら仕事を進められます。
誠実性
62.7%の企業が重視するスキルとして回答したのが誠実性です。誠実性とは、人や仕事に真っ直ぐに向き合うことを指します。
誰かが見ているかどうかに関わりなく、正直に振る舞うのが誠実な人です。
誠実な人の特徴と仕事の仕方は、以下のとおりです。
・分け隔てなく礼儀正しい
誠実な人は裏表がなく、誰に対しても礼儀正しく接します。人によって態度を変えることはなく、周りから煙たがられるような人がいても、避けたり陰口を叩いたりすることはありません。
・感謝を忘れない
周りからのサポートに対して感謝の気持ちを言葉や行動で表します。自分の仕事を周りが手伝ってくれたり、自分のために時間を取ってくれたりしたときは、それを当然とみなすのではなく、きちんとお礼を伝えることができる人です。
・報連相を徹底している
報連相を徹底することで、会社にとって不利益になる状況を避けられます。また、万が一トラブルが発生しても周りへの影響を最小限に抑えられるでしょう。誠実な人は報連相を徹底しています。
・約束を守る
一度約束したことを守るのも誠実な人の特徴です。打ち合わせの時間や取引先との納期の約束など、難しく思えるような状況になっても間に合わせるように努力します。
なぜ社会人基礎力が重要視されているのか
社会人基礎スキルが重要視されている背景には、企業で働く一員として年代や性別、考え方の異なる人材とともに従事している影響があります。
具体的にどのような目的のために社会人基礎スキルが重要とされているのか、という点について見ていきましょう。
学生と企業の認識の差を減らすため
学生と社会人では、さまざまな部分で認識に違いがあるため、その差が大きいままだとトラブルにつながる恐れもあります。
そのため、できる限り認識のズレを減らして、スムーズに社会へ馴染めるように基礎スキルは必要になるのです。
考え方が異なる点としては、責任の所在が代表的でしょう。
学生のときは、提出物の不備や何かミスがあっても、すべて自分に責任が返ってきます。
ある程度自由なことをしても、自身に降りかかることがほとんどなので、ペナルティなどを覚悟しておけばそれで済むこともあるかもしれません。
しかし、社会に出るとその責任は大きくなり、さらに同僚や会社にも影響を与えることが多くなります。
たとえば「取引先に資料を届けるよう上司から頼まれた」という場合、頼まれたこと自体を忘れていたらどうなるでしょうか。
上司には取引先から苦情が入り、会社としての信用も失うでしょう。当然、ミスをした自分への注意もありますが、今後同じミスが続くようならば仕事を依頼されなくなるかもしれません。
企業の一員になるということは、自分視点だけではなく、他者の視点も含めて物事を判断することが必要なのです。
年代を問わず活躍できるようにするため
近年、人生100年時代と呼ばれるようになり、定年後の再雇用などを含めて働く期間も長くなっています。
入社直後や部下をもったとき、家庭との両立、管理職についたときなど、ライフステージによって必要なスキルのアップデートを行うことが求められます。
社会人基礎力によって目的、学び、統合する習慣が身についていれば、キャリアアップの指標として年代問わず活躍できるようになると考えられます。
社会人基礎力を身に付けるための方法
社会人基礎力の重要性についてお伝えしてきましたが、実際に身に付けるためにはどのようにすべきか、という点について確認していきましょう。
今の自分はどうか考える
今現在の自分がもっている資質や能力を客観的に捉えて、理想とする社会人基礎スキルを身に付けた自分と比較します。
やみくもにすべてのスキルを意識するのではなく、どの要素が足りないのか、身に付いていないのかを明確にすることが大切です。
意識しながら行動を起こす
どの要素が足りないのか明確にしたところで、頭の中で足りないことを理解しているだけではスキルは身に付きません。
普段から意識して実際に行動を起こし、繰り返しながら身に付けていく必要があります。
業務中だけでなく、日常生活の中で人との接し方、課題の解決方法など、社会人基礎スキルを意識しながら行動するのもベターです。
社会人としての知識やマナーを身に付ける努力をする
社会人のマナーを守るということは相手への思いやりでもあり、社内や取引先との信頼を保つためには必要不可欠です。
マナーを守らずに仕事をすると、周りを不愉快にさせるため、気持ち良く同僚や取引先と仕事ができません。
そのような状態では、仮に業務を真面目に行って成果をあげたつもりでも、成果自体は度外視されやすく、周りにも認められにくくなります。
マナーの悪い態度は自分だけではなく、組織のイメージも悪くしてしまう可能性があるため、企業としても重要視している部分です。
TPOに合わせた判断をして、なぜその行動が必要なのかを常に考える必要があるでしょう。
そうすることで、納得感をもって行動ができ、より良いマナーが身に付きやすくなります。
とはいえ、その場に合った対応は人によって考え方が異なるため、自分のとった行動が必ずしも正解ではないかもしれません。
しかし、あきらめずにマナーへの配慮を続ければ一定の水準が保たれるようになり、業務だけでなく姿勢から評価を受けることができるようになるでしょう。
社会人として必要なスキルは、まだ多くの要素があり、身に付けておくべきこともたくさんあります。
より詳しく社会人の基礎スキルを身に付けたいと考えている方は、お仕事探しマニュアルが役立つでしょう。
また、自分の強みや適性を活かして仕事をしたいならWorkinで仕事探しすることをおすすめします。
こちらでは、こだわり検索で自分の経験や資格、希望の労働条件に合った仕事を探せ、効率良く就職先を決めることができるでしょう。
まとめ
社会人基礎スキルは、身に付けていなければキャリアアップがうまくいかないだけでなく、周囲の社員との意思疎通やチームワークに悪影響が出る恐れもあります。
最初からすべて完璧に身につけようとするのではなく、足りない要素を意識しながら少しずつ向上していく姿勢が大切になるでしょう。
社会人としての知識に困ったときは、必要に応じてお仕事探しマニュアルもご活用ください。