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実直な生産者との出会いが原点。サクラスイーツの「人と人を結ぶ」お菓子づくり

富山県にある「サクラスイーツ」は、ケーキ類はチーズケーキだけ、という一風変わったお菓子屋さん。店頭のショーケースには、色とりどりのチーズケーキと一緒に素材の生産者を紹介するポップが並んでいます。

「人と人を結ぶお菓子」を届けるお店・サクラスイーツの代表取締役・芦崎さんに、お菓子やお店作りについて聞いてみました。

チーズケーキ

石黒さんの甘酒との出会い

サクラスイーツと言えばチーズケーキ。プレーンやストロベリーといった定番のタイプから、季節限定のもの、黒豆や醤油といった和素材が主役のものなど、10種類以上のチーズケーキを展開しています。

▲今回お話しをして下さった、サクラスイーツ代表取締役社長・芦崎さん

その中でも特に思い入れ深いのが、「甘酒」を使ったチーズケーキです。

もともと僕は甘酒が苦手でした。
お正月なんかに缶の甘酒を買って飲んでみたりするのですが、美味しくなくて半分くらい残してしまって。甘酒ってお酒でもないし・・・何とも言えない飲み物だなと思っていました。

そのイメージが変わったのは、知人の紹介でお会いした「石黒種麹店」の石黒さんに甘酒を飲ませてもらった時でした。石黒さんが麹から作った甘酒を飲んで、あまりの美味しさに衝撃を受けました。

成分表を見てみると素材は米と麹だけ。
「これだけしか入っていないのになんでこんなに美味しいんだろう?今までの甘酒はなんだったんだろう・・・」と驚きました。

この石黒さんの甘酒は、あまりにも美味しくてその場で3杯もおかわりしてしまいました。それから毎日飲み続けて、1週間程で体重が1.5キロも減り、眠れないほど元気になりました(笑)

世の中であまり知られていない、優れた素材が沢山ある


石黒さんは、江戸時代から一子相伝で技術を受け継ぐ、日本に十数人しかいない麹職人さんです。石黒さんのもとで丁寧に仕込まれた甘酒を飲んで、世の中には工場で大量生産されるものとは全然違う美味しさのものがあるということを知りました。

そしてその一方で、こんなに美味しくて体にもいいものでも、世の中であまり知られていないということにも気づきました。僕自身、ずっと富山に住んでいるのに、地元にこんないいものがあるとは知りませんでしたから・・・。

実直に作られた美味しい甘酒をもっと沢山の人に

「芦崎さんにやって欲しい」石黒さんにそう言っていただきました。
託してもらった甘酒はスーパーで売っているものとは全く違う美味しさ。これを大切に残してみんなで守っていくために、沢山の人にこの甘酒の美味しさを知ってもらおうと思いました。

そして、美味しいということだけじゃなく、その素材の裏にある生産者の想いや出来上がるまでのストーリーも一緒に沢山の人に伝えたい・・・僕は甘酒を使ったチーズケーキを作ることに決めました。

チーズケーキを選んだ理由

チーズケーキは大手乳業メーカーが出している人気スイーツランキングでも必ずベスト3に入る人気のスイーツで、幅広い年齢層の方が食べます。

普段麹を買わない、食べない方でもチーズケーキだったら食べてもらえる。普段、日本素材に興味のない若者にも興味を持ってもらえる。さらに、世界中で食べられているスイーツだから、海外から来たお客様にだって食べてもらえる。

凄く人気のあるスイーツに日本素材を組み合わせることで、沢山の人に親しんでもらえるものになるんじゃないかと考えました。

その予想は的中。甘酒の柔らかい甘みを活かしたオリジナルレシピのチーズケーキは好評で、サクラスイーツのヒット商品になりました。


▲工夫を重ねた独自のレシピのチーズケーキは、さっぱりして風味豊か。

あれから6年。
醤油や黒豆・抹茶など、様々な生産者さんと繋がり、素材にこだわったチーズケーキ作りを続けています。今では日本各地の素材を活かした『8種のチーズケーキ』という商品がサクラスイーツの看板商品になっています。


▲黒ゴマや醤油、和三盆や柚子など、日本の素材を活かした『8種類のチーズケーキ』。

「人と人を結ぶお菓子」―――生産者とお客様を結ぶ

サクラスイーツは、人と人を「結ぶ」お菓子を作り、届けていくことを大切にしています。生産者とお客様を「結ぶ」ことがその一つです。

例えば、サクラスイーツで使用しているゴマの生産者さん。
知人の紹介で出会った村田さんは真っ黒に日焼けした農家さん。無農薬栽培をしているので、いつも虫と戦いながら美味しいゴマを育てています。

村田さんの純粋なモノ作りの姿勢を見て、ゴマのことと一緒に村田さんのこともお客様に知ってほしいなと思うようになり、「いちじくとごまのサブレ」という商品を開発しました。

そして、日焼けで真っ黒になった村田さんがクマみたいに見えたので、「村田さん、クマのキャラクターになってお菓子に登場してください」と提案(笑) 富山のイラストレーターさんの協力のもと「ゴマを持ったクマ」に変身した村田さんがお土産の一部に登場しています。


▲ゴマ農家・村田さんがモデルになったのが写真右下の茶色いクマのキャラクター。

店頭は生産者の方とお客様を結ぶ架け橋。ゴマの紹介とともに、そのゴマを作っている村田さんのことも積極的に紹介しています。実際に、サクラスイーツのお菓子がきっかけで、生産者の方を訪ねてくれるお客様がいっぱいいるんですよ。

お客様とお客様の大切な方を結ぶ


そして、2つ目の「結び」はお客様とお客様の大切な方とのこと。
お菓子には幸せを届ける力があると思っています。サクラスイーツのお菓子を贈る人と、贈られる人が幸せな気持ちで結ばれるように、サクラスイーツのギフト商品には、必ずポエムが書かれたメッセージカードを一緒に入れています。

これはお菓子を贈った人と贈られた人の結びつきが強くなることを願って考えた仕掛け。「こんな気持ちでくれたのかなぁ」と想像しながら、その想いの中でお菓子を食べて貰えると嬉しいです。

こんな風に、『人と人を結ぶ』というコンセプトで、商品を作り、パッケージを作り、商品ポップを作り、接客も考える。こうした活動を一つひとつ続けていくことで、サクラスイーツとお客様の結びつきも生まれていくと思っています。

広がっていく人と人との結びつき

「人と人を結ぶ」ということを大切にしてきましたが、最近のお店を見ていると、そのコンセプトを理解して応援してくれるお客様が多くなってきたな、と感じています。

今では生産者の方だけではなく、富山の書道家や日本画家、イラストレーターやデザイナーともコラボして、パッケージなどを作ってもらっています。店頭にコラボ商品を集めたコーナーを作って、アーティストの情報もお菓子と一緒に紹介したり。アーティストとお客様を結ぶ橋渡しになれればと思っています。

ご協力、ありがとうございました!
サクラスイーツ(from 富山県下新川郡入善町) 代表取締役社長 芦崎貴さん http://sakura-sweets.com/